食の多様化に対応できる社会を実現したい。 “Vegan女王”室谷真由美さん スペシャルインタビュー Vol.2

特定非営利活動法人日本ヴィーガン協会理事長を務め、日本におけるヴィーガンの第一人者としても知られる室谷真由美(むろや・まゆみ)さんにVeganlife編集部が突撃インタビュー。第2回目となる今回は、日本にヴィーガンを広めようと奔走する室谷さんの活動についてうかがいました。

ヴィーガンをもっとわかりやすく!協会立ち上げにかけて思い

――個人でヴィーガンを実践するだけではなく、日本にヴィーガンを広める活動をはじめたきっかけは?

室谷:食の多様性を尊重することが国際的なスタンダードになりつつある昨今、「日本にヴィーガンを専門に扱う協会がないこと」に危機感を抱いたのが日本ヴィーガン協会を立ち上げたきっかけです。「ヴィーガンをわかりやすく」をスローガンに掲げて発足しました。

残念ながら、日本でのヴィーガンの認知は低く、海外から外国の方がいらしても、どこへ行ったらヴィーガン食に出会えるのかまったくわからないんですよね。海外からやってきたヴィーガンの人の視点に立ったときに、外食はもちろん、スーパーやコンビニで買える食事のどれにもヴィーガン対応かどうかの表示がなく、「日本に来ても食事ができない」という事態に陥ってしまっているのは重大な課題ではないでしょうか。ヴィーガン対応の可否がわかる環境を整えていくことが必要だと思いました。

子どもたちがヴィーガン食を体験。公立小学校との連携で実現した“ヴィーガン給食”

日本で初めて給食にヴィーガン食を体験する日を導入した八王子市浅川小学校の「月1開催ヴィーガン給食」。室谷さんも監修に加わったこの企画の背景についてうかがいました。

――「月1ヴィーガン給食」が実現されたきっかけは?

室谷:浅川小学校の清水校長先生と環境省アンバサダー仲間として出会ったのがきっかけでした。環境省の食事会でヴィーガン料理をふるまう機会を設けたところ、「これがヴィーガンなの?」と、そのおいしさに大変驚いていただいて、そこから関心を持っていただいたかたちです。

――公立の小学校でのヴィーガン給食、実現までに壁はなかったのでしょうか?

室谷:浅川小学校では、これまでにも食に制限がある子どもたちが同じメニューを食べられる「エブリワン給食」という日を設ける活動をされていました。アレルギーの子がいる乳製品・卵に加え、宗教上の理由で食べられない子がいる肉を除去した給食です。魚は使われるのでヴィーガン食ではありませんが、制限のある子の食事を体験することで子どもたちが食の多様性に対する理解を深められるとても良い機会ですよね。ヴィーガン給食も、エブリワン給食という土壌があったからこそ実現しやすかったのだと思っています。

それから、管理栄養士の方に積極的にご協力いただけたのも大きかったですね。おいしいヴィーガン給食が実現できているのは周囲の理解と協力的な姿勢があったからです。

☆「月1開催ヴィーガン給食レポート」記事はこちら

ヴィーガンだけじゃない。目指すのは“食の選択を尊重しあえる社会”

――ヴィーガンを広めるためにさまざまな活動を行っている室谷さんですが、ずばり今後の展開は?

 

室谷:ヴィーガンにたいする理解者を増やしていきたいですね。動物性の食事を選択する人を否定するつもりはありませんし、ヴィーガンになってほしいというわけでもなくて、世の中にはヴィーガンという食の選択をする人がいるということを、まずはできるだけ多くの人に知ってほしいです。

世界中には、さまざまな理由で食の選択をしている人がいます。アレルギーなどの健康上の理由もそうですし、宗教上の理由で食べるものを制限している人もいますよね。私はヴィーガンを選択して食事を制限する立場になったときに、はじめて「食べられないという疎外感」を経験しました。食事は大切なコミュニケーションの場ですから、同じ料理を囲めないというのは少なからず寂しい思いがあります。そういった意味では、浅川小学校の「ヴィーガン給食」や「エブリワン給食」のように、食に制限がある人も同じ料理を囲めるという機会は、誰にとっても尊い体験だと思います。

世界的に食の多様性が広がっている今だからこそ、日本でも食の多様性についてみんなが学び、どんな食の選択をしていてもお互いに尊重しあえる社会を実現できるよう、私はヴィーガンとして活動を続けていきたいですね。

――ありがとうございました!

室谷真由美さんをゲストに迎えたスペシャルインタビュー、最終回となる次回は『日本におけるヴィーガンのこれから』について語っていただきます。

※撮影のため一時的にマスクを外しています。

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